フィンランドレポート【ユヴァスキュラ編】

550万の人口に対し300万ものサウナを有する、まさに世界屈指のサウナ大国であるフィンランド。サウナタイムのサウナーけたが、フィンランドの各地に趣き、その独自のサウナ文化や食文化を4回にわたり徹底レポート。ラフティ、ハメーンリンナ、タンペレと続き、今回は最終回となるユヴァスキュラ編。

ユヴァスキュラってこんなトコ

ユヴァスキュラは、フィンランドの首都ヘルシンキから車で4時間弱ほど。フィンランドの湖水地方(陸地よりも湖水の面積の方が多い地域のこと)の中心あたりに位置する。 教育産業が盛んで、市の30%ほどを学生で占めており、とてもコンパクトで静かな街だ。ユヴァスキュラで遊ぶなら、ショッピングや観光も楽しいが、湖畔でのんびりと過ごすことをオススメしたい。 なお、ヘルシンキからユヴァスキュラまでは空路が便利。ヘルシンキ空港からユヴァスキュラ空港までおおよそ1時間以内で到着できる。

サウナの歴史博物館?サウナビレッジ

ユヴァスキュラで最初に体験したサウナは「サウナビレッジ」にて。1970年に中央フィンランドの小さな村の人々が、フィンランドのサウナ文化を一つの場所に集めようと取り組んだ。そして出来たのが「サウナビレッジ」。 ここは24室の歴史あるサウナが集まっており、サウナは全てスモークサウナ。サウナビレッジには更衣室やシャワーなど近代的なインフラはなく、サウナ後は桶に汲んだ水をかぶるという、とてもプリミティブな体験ができる。 とても趣のあるサウナ。昔のサウナを感じてもらうため、ボランティアで古いサウナの修復を繰り返している。 しっかりと燻されたスモークサウナ。一度のロウリュで、木とヴィヒタとスモークの香りが充満する。 湖もシャワーもない。まさにサウナを歴史ごと再現したような感じ。サウナの後はワイルドなクールダウン。

立ち寄りに最適。ヴァルヨラリゾート

ユヴァスキュラの宿に向かう前にヴァルヨラに立ち寄り。ヴァルヨラとは、35以上ものアクティビティが楽しめるレジャースポット。フィンランドの伝統料理を作ったり、森林ツアーなどがサウナと一緒に楽しめる。 フィンランド料理に挑戦!(とはいっても、ものすごく簡単な調理で、ほとんどは施設の人が作ってくれた) もちろんサウナもある。こちらはコテージタイプのサウナ。 入り口がスモークでまっくろになっているサウナ室。かなり大きなサウナストーブがあると、入る前から期待で胸が膨らむ 中に入ると、今回のフィンランド旅でもっとも大きく広いサウナ室だった。80人くらいは軽く入れそう。

フィンランドでもっともポピュラーなドリンク

4回にわたるフィンランドレポートでいくつかのグルメを紹介したが、最後に紹介したいのは、フィンランドでもっともポピュラーといわれているアルコール、 「オリジナルロングドリンク」通称「ロンケロ」 だ。ジンをベースにグレープフルーツを使った、さっぱりした味わいでとても飲みやすい。サウナ室内でアルコールを飲むフィンランドの習慣にも、ぴったりマッチする味だ。なお、筆者はこのフィンランド旅から完全にロンケロの虜になってしまい、ほぼ毎日自宅でロンケロを飲んでいる。 日本では 成城石井 などで手に入る。

おどろきのリゾートホテル。レヴォントゥリリゾート

ユヴァスキュラのホテルはレヴォントゥリリゾートで。コテージタイプのレヴォントゥリリゾートは、宿泊の他にサウナやボウリングなどのアミューズメントも楽しめるが、何より特徴的なのは、なんといってもベッドルーム。下の写真を見てほしい。宿泊者用のコテージの半分がガラス張りなのがわかるだろうか…。 オーロラを観ながら眠りにつくことができるとても素敵なベッドルーム。 レヴォントゥリのサウナは、スモークサウナや電気ストーブのサウナに加え、テントサウナもある。夜になるとテントサウナ内がライトアップされ、とても幻想的な雰囲気になる。 サウナを出たら、お待ちかねの湖ダイブ。この日の水温は約4℃! イブニングサウナを楽しんだらレヴォントゥリ自慢のベッドルームへ。ユヴァスキュラに来たら絶対オススメしたいリゾートホテルだ。

フィンランド旅を終えて思うこと。

今回のフィンランド旅は、日本からヘルシンキに到着し、 ラフティハメーンリンナタンペレ 、ユヴァスキュラと4つの都市を巡った。 たくさんのサウナに入り、たくさんのフィンランド料理を食べ、たくさんのフィンランド人と話すことができた。 フィンランドのサウナはスモークサウナが多く、熱源も薪がほとんどで、日本ではなかなか味わえないものばかり。ひとつひとつのサウナにとても感動した。 旅の最終日、サウナに入り、湖に飛び込み、外気浴をしていると、ふと、ある食べ物が脳裏をよぎった。それは……。 わたくしの愛するホームサウナ。 湘南ひらつか太古の湯グリーンサウナ の城門ラーメン……。 おっと、ここは日本ではない。北欧の国フィンランドだ…。もっと北欧のことを考えなくては……。 ちがうちがう……。それは北欧というより上野の サウナ北欧 だ…。 なぜ日本のことを考える…。フィンランドの冷たくて綺麗な湖。最高に気持ちよかったじゃないか…。水質も最高で。そう、水質、水といえば……。 ちがうちがう……。フィンランドの湖をイメージしたいのに、サウナしきじの水風呂が出てきてどうする…。もっとこう、、水風呂じゃなくて…、自然の湖。湖ダイブすると、水しぶきがぶわっとあがる……。 水しぶきあがりすぎだろッ!それは 湯らっくす のMAD MAX!
なぜこんなにも異国の地で、故郷のサウナばかり考えてしまうのか……。


フィンランドのサウナは素晴らしい。本当に貴重で最高の体験が出来た。でも…、日本のサウナは改めて思うと、本当に本当に素晴らしい。フィンランドに比べて、大自然の恵みは少ないかもしれない。でも、水風呂をつくり、冷却装置を使い温度にこだわり、水質にこだわり…。そこにはサウナ施設の方達の英知と努力があり、その積み重ねで、日本の素敵なサウナ文化は出来ている。フィンランドのサウナと日本のサウナは、同質ではないかもしれないが、同等ではある。どちらが優れているとはいえないもだと思った。 日本のサウナは、フィンランドと違う「高温低湿」のカラカラした乾いたサウナが多いかもしれない。だが、カラカラしたサウナに入って、最初はなかなか汗が出ないなぁ、と思った5分後、突如湧き出る大量の汗の爽快感。サウナ室のテレビを観ながら、野球や相撲で盛り上がる一体感。みんなで手を叩き楽しむロウリュのスカッと感。日本独自の発展を遂げたサウナは、とても楽しく気持ちのいいもので、あらためてぼくは日本のサウナが大好きであると、北欧の地フィンランドで気づかされました。

4泊6日のフィンランド旅。本当に貴重な体験ができました。フィンランドに行ってみたいと思っているサウナーのみなさん、ぜひ行ってみてください!とても治安もいいですし、直行便で行けば、成田空港から10時間かかりません。

そして、現地の方と話す機会があれば、ぜひ一言こう言ってあげてください。

「Tule japanilaiseen saunaan!(日本のサウナに、入りにきてください!)」

取材協力: Visit Finland
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