こだわりの逸品 アウフグース専用タオル

熱したサウナストーンに水をかけ、立ちのぼる蒸気をタオルなどであおぐパフォーマンス「アウフグース」
昨今、急激にこのパフォーマンスが注目をあびており、施設所属のアウフギーサー(アウフグースをする人)や、施設に属さずフリーで活躍するアウフギーサーも増えてきた。
そしてこのたび満を辞して、アウフギーサーにとって命ともいえる道具「タオル」にアウフグース専用のものが誕生した。
今回は、アウフグース専用タオルの誕生秘話からそのこだわりまでを取材した。

まずはおさらい。アウフグースとは

本題に入る前に、まずはおさらい。アウフグースとは何なのか。この基本を説明しよう。
サウナ室はサウナストーブという熱源を使い部屋を温めている。様々なタイプのサウナストーブがあるが、ストーブの上にサウナストーンという蓄熱性の高い石を山積みに載せ、そこから熱気を対流させるタイプのストーブがあり、フィンランドやドイツなどのサウナではこのタイプが主流といわれている。

このストーブの上に載せられたストーンに水をかけると、蒸気がストーブから立ちのぼり、サウナ室の温度は変わらないが体感温度が一気に上がる。
この行為はフィンランド発祥で「ロウリュ」と言われている。フィンランドではロウリュをして立ちのぼった蒸気を浴びて体を温めるのが、一般的なサウナの入り方といわれている。

ロウリュをして立ちのぼった蒸気をタオルなどであおいでみると、猛烈に熱い熱風がぶわっとサウナ室を駆け巡る。この「ロウリュで上がった蒸気をタオルなどであおぐ行為」これをアウフグースという。

アウフグースはドイツ発祥で、欧州ではアウフグースの世界大会が行われている。
ロウリュとアウフグースの違いについては、詳しくは こちら の記事をチェック。

アウフグース専用タオルは、この人の発想からうまれた。

アウフグースをする演者「アウフギーサー」にとって、タオルはまさに商売道具。だが、アウフグースに適したタオルというのは、なかなか市場に出回っていない。
それであれば、アウフグース専用のタオルを作ろうと一人のアウフギーサーが立ち上がった。 アウフグースプロフェッショナルチーム のメンバーであり、鳥取県ネイチャーサウナ所属の 五塔熱子 氏だ。

なぜアウフグース専用のタオルを作りたいと思ったのか、鳥取在住の五塔熱子氏にリモートインタビューをした。

- 五塔熱子 「アウフグース専用タオルを作ろうと思ったきっかけは、世界大会参加を見据えたからです。
アウフグースの世界大会で使用するタオルって、大きさの規格があるんです。その規格は100×150㎝になるんですが、このサイズのタオルは日本のタオル市場では流通がほぼないんですよ。
これから日本のアウフグースが世界を目指していく中で、世界大会規格のタオルが無い。そういうわけにはいかないと思い、アウフグースプロフェッショナルチームのリーダーである 箸休めサトシ さんに相談させていただきながら、無いならつくろうと思ったんです」

100×150㎝というかなり変わったサイズのタオル。
果たして作ってくれるメーカーはあったのだろうか……。

- 五塔熱子 「タオルを作ってくれるメーカーですが、けっこうたくさんのメーカーに問い合わせました。すると、「すごくコストがかかる」「技術的に難しい」など、全てのメーカーに断られたんです。
市販の大きなタオルも探してみたのですが、かなり重たくてアウフグースには不向きでした。
アウフグースにとって重要な、大きさ、そして重さ。これらに応えられるメーカーが見つからない……。そう思っていたときに、出会ったのがKONTEXだったんです」

KONTEXとは、愛媛県今治にある有名なタオルメーカー。五塔熱子氏から話を聞いたKONTEXの方々はどんなリアクションだったのだろうか。

- 五塔熱子 「それが、すごい情熱で応対してくれたんです。アウフグースに適した大きさ、重さをどう実現するか。アウフグース中にタオルが壁などに当たって糸が抜ける現象がよくあるのですが、それが起きないようにするにはどうすべきか、風をしっかりつかんでお客さんに送るにはどうすべきか。
すごい熱量で製作者間の議論を進めてくれて、そして製作スタートのOKが出てKONTEXさんのアウフグース専用タオルプロジェクトがスタートしたんです」

プロジェクトスタート!

いよいよアウフグース専用タオルの製作がスタートした KONTEX 。 KONTEXとは、タオルのまち愛媛県今治に本社と工場を持つ、タオルや寝装品、インテリアなどを手掛けるブランド。 よくサウナ施設で見かける MOKUタオル などを製造している。

今回、プロジェクトをメインで動かしたのは、タオル製作に情熱を燃やし、サウナをこよなく愛する近藤氏(左)と相馬氏(右)

KONTEXの2人を中心にプロジェクトがスタートしたが、アウフグース専用タオルを作る際、超えなければならないハードルが4つある。

① 大きさ

これは世界大会の規格、100×150㎝を実現しないといけない。このサイズはかなり大きく日本では流通しているものではないため、このタオルを作るためだけに、タオルを製作する織機の仕様を変えなければならない。

② 重さ

タオルが大きい分もちろん重量は重くなる。しかし、サウナ室で長時間タオルを巧みに回すのに、重すぎると操れない。逆に軽すぎても風が弱くなってしまう。550gから650gほどに仕上がるよう作っていかなければならない。

③ 糸抜け

体を拭く通常のタオルより、アウフグース専用タオルは大きな衝撃を受けやすく、またサウナ室によっては天井や壁に当たってしまう。その都度普通のタオルでは糸が抜けてしまうため、より強度が強く糸の抜けにくいタオルを作らなければならない。

①大きさ を実現するため織機の仕様を手作業で組み替え、 ②重さ は素材やパイルの長さを何度も何度もベスト重量に向けて調整し、 ③糸抜け は織り方や糸の打ち込み密度を上げることでより強度を上げた。 いずれも途方もない苦労と失敗の連続……。しかし、4つ目のハードルは、この3つをはるかに凌ぐ困難なものだった。

最難関ハードル。「風つかみ」

アウフグース専用タオルを作る上で立ちはだかる4つのハードル。
大きさ、重さ、糸ぬけ。そして最難関の4つ目のハードルは「風つかみ」
アウフグースを受けるサウナ室は、比較的広く、またベンチが段になっている場合が多い。
下段よりも上段のお客さんの方が風は送りにくく、また手前よりも奥にいるお客さんへの風は少し弱まりやすくなってしまう。
お客さんがどこに座っても的確に強くパワフルな風を届けなければならない。そのためにはタオルが確実に風をつかみ、アウフギーサーがタオルを振り下ろした時にしっかり前に風を吐き出す、いうなれば風をつかんでしっかり送ることのできるタオルが必要だ。

それを実現するために、重さや糸抜けのハードルをしっかりと守りながら、糸密度の濃いタオルが必要になる。
しかし、ただ密度を濃くすればタオルは重たくなり取り回しが困難になってしまう。そこでこだわったのがタオルの織り方。
「あぜ織り」という特殊な織り方を採用し、密度と重量の双方の課題を克服した。
「あぜ織り」とは、縦の糸と横の糸に数本の糸を越えさせて、互いに田んぼのあぜのように等間隔で凹凸を持たせる織り方。下のイラストをみてくれるとわかりやすいだろう。

独特の織り方をしながらも、大きさ、密度、重量、これらすべての要望に応えるのは、通常のタオルを作ることよりも何倍もの手間と技術が必要となる。
並ならぬ努力の末、全てのハードルをクリアし、ようやくアウフグース専用タオルは完成した。

これが完成したアウフグース専用タオル!

プロジェクトがスタートしてからいくつもの試行錯誤を重ね完成したタオルがこちら。

100×150㎝の世界大会規格をクリアし、迫力のある大きさとなっている。
重さは650g。サウナ室での取り回しがしっかり出来、かつ強靭な風を送るギリギリの重さ。
そしてびっしりと編み込まれた糸で糸抜けを最小限に抑え、あぜ織りによる濃密な糸の織り方でガッチリとつかんだ風をパワフルに送ることができる。
タオルの端には堂々と佇む赤丸のロゴ。これは世界に向けて羽ばたく日の丸を表現している。

アウフグース専用タオルの風を体験!

完成したタオルの風は、アウフグースプロフェッショナルチームをはじめ、多くのアウフギーサーが愛用している。
アウフグースプロフェッショナルチームの活動拠点である横浜市の スカイスパYOKOHAMA や東京都上野の サウナ北欧 。鳥取県の ネイチャーサウナ 、そして各アウフグースイベントなどで、このタオルを持っているアウフギーサーに出会えると体感できる。
ぜひ、こだわりのタオルからおりなすパワフルな風を楽しんで欲しい。
これから世界に向けて躍進していくアウフグースジャパン。
サウナーのみなさまひとりひとりの応援が、アウフギーサーの心の支えとなっていくだろう。

KONTEXのサウナアイテムは コチラ