ドラマ25「サ道2021」 放送記念インタビュー 長島監督、五箇プロデューサー

2019年7月期レギュラー放送から19年年末特番、そして大きな話題となった今年の2月14日バレンタインデーの特番を経ての続編放送。今回のドラマのこだわりやみどころを、前作から監督として「サ道」の世界観を作り出す長島監督、同じく前作からプロデューサーとして指揮をとる五箇プロデューサーに単独インタビューを行った。

ドラマ「サ道」とは?

インタビューに入る前に ドラマ「サ道」 について少しおさらい。 ドラマ「サ道」は、漫画家 タナカカツキ 氏の「マンガ サ道~マンガで読むサウナ道~』(講談社モーニング KC 刊)」が原作となり、2019年7月からレギュラー放送となったドラマ。
主人公の ナカタアツロウ(原田泰造) は、ある日謎の男 蒸しZ (宅麻伸) に出会いサウナの本当の気持ちよさを知ることになる。ナカタのホームサウナである サウナ北欧 で知り合った常連、 偶然さん(三宅弘城)イケメン蒸し男(磯村勇斗) と一緒にサウナの日常を楽しみながら、全国のサウナを蒸しZと再会するために渡り歩くストーリー。
関東のみならず、静岡や名古屋、熊本まで各地の有名施設や実際のスタッフが登場する本作は多くの反響を呼んだ。
レギュラー放送は2019年10月に終了し、同年12月に北海道スペシャル版、2021年2月に 冬のスペシャル版 が放送され、満を持しての続編レギュラー放送となる。
前作と今作にどんな違いがあるのか。今作のみどころなど、ドラマ「サ道2021」の長島監督と五箇プロデューサーに伺った。
昨今の情勢を鑑み、インタビューはリモートで実施。

長嶋監督
五箇プロデューサー

前作放送から増えた若いサウナーたち

どうぞよろしくお願いします! - サウナーけた

- 長島監督 「よろしくおねがいします」

- 五箇プロデューサー 「よろしくおねがいします」

ドラマ「サ道」が2019年の夏にレギュラー放送され、はや2年が経ちました。
長島監督、五箇プロデューサーからみて、サウナ界の変化などどう感じてらっしゃいますでしょうか。

- 五箇プロデューサー 「若い人が増えましたよね。統計データにも出ているんですが、若い方々の施設利用は本当に増えているようです。
ドラマ「サ道」は温浴施設のご協力があってはじめて制作できるので、少し恩返しができたのかな、と思っています」

たしかに。本当にいろんな世代の方がサウナを楽しんでいるように思います。
監督はいかがでしょうか。

- 長島監督 「そうですね。いわゆるサウナーっていう雰囲気の若い人が増えた気がします」

わかります!なんかこう、この人サウナお好きなんだな……ってのがひしひし伝わる方っていますよね。
監督からみて「この人サウナーだな」って思うポイントってありますか?

- 長島監督 「全体的に「マナーを守る」ということを、とても意識されてる感じがします。あとサウナ室で姿勢の良い方が増えた気がします。自分が姿勢が悪いので、とても感心してしまいます」

- 五箇プロデューサー 「サウナ好きの方って、掛け湯をきちんとするとか、使った後のととのい椅子をちゃんと水で流すとか、そういう何気ないベーシックなマナーがしっかりできていますよね」

マナー、たしかにそうですね。
前回のサ道で、それこそ主人公のナカタがすごくマナーがいいじゃないですか。あれはとてもいい発信でしたよね。

- 長島監督 「あくまでもテレビで放送されるので、悪いお手本になってしまわないように、というのは心がけました。編集の際、どんなに尺が厳しくても、入浴前に全身を洗う、濡れた状態でサウナ室に入らない、水風呂前には掛け湯をする、というシーンは残すようにしています」

- 五箇プロデューサー 「前回の「サ道」はコロナ前だったので、サウナ室でも普通にしゃべっていたんです。でも、今は黙浴が新しいマナーのスタンダードなので、そういうところも今回は伝えていきたいと思っています」

前回の冬のスペシャルでも、黙浴の様子がとてもコミカルに描かれてましたね。

- 長島監督 「以前から個人的には静かなサウナ室が好きでしたが、それだとドラマが作れないというジレンマをずっと抱えていました。コロナになって、いよいよ喋れなくなったので、その状況を逆手にとった感じですかね。いずれにせよ、どんな状況でもケースバイケースで、常に周りのお客さんを気にかけるということが、大事なのかなと思います」

©「サ道 2021」製作委員会

振り返る前作の名シーン

そんな、サウナ界に大きな影響を与えた2019年のドラマ「サ道」ですが、五箇さん、長島さんからみた、前作のお気に入りシーンなどありますか?

- 五箇プロデューサー 「やっぱり太古の湯グリーンサウナの回は愛着がありますね。今はもう無い施設なので、なんだかすごく切ないですね……。でも今はグリーンサウナが平塚の飲食店「キッチンみどり蒸し」として継続していることを考えると、とても感慨深いです」

グリーンサウナの回は、ぼくは今でもたまに観ます。ぼくのホームサウナだったので……。

- 五箇プロデューサー 「実際の施設をお借りして「サ道」は収録をしているので、今ドラマで観られている施設が今後無くなることもあるかもしれません。そう思うと一つ一つ大切に撮影していきたいですね……」

一回一回のサウナ、ひとつひとつの施設に感謝ですね……。
監督はいかがでしょうか。

- 長島監督 「印象に残っているのは、最終回の湯らっくす回で、結局ととのわなかったときの原田泰造さんの表情ですね」

わかります!あのちょっとフッと笑う感じ。

- 五箇プロデューサー 「あの表情は本当に素敵でしたね」

- 長島監督 「いつも現場ではこちらの意図を汲んで、淡々と自然体の抑えた芝居に徹してくれていて、その分、目尻とか口角とか指先とか、ディティールに原田泰造さんの繊細な表現力がでている気がします」

あの表情に至るまでの、サウナ室→水風呂→休憩を1カットでいったシーンも本当に名シーンでした。

- 五箇プロデューサー 「なんかサウナに行きたくなってきましたね……」

ナカタアツロウ(原田泰造)
©「サ道 2021」製作委員会

ずっとやりたかったサ道の続編

今回の「サ道2021」を制作しようと思ったきっかけはなんでしょうか。

- 五箇プロデューサー 「前回放送した「サ道」が終わってから大きな反響があり続ける中で、続編をやりたいという思いはずっとあったんです。
そういった中、コロナ禍となってテレビ業界も大きな打撃を受けて、続編が出せるのかどうなのか、難しい局面が続いていたんですが、スタッフ一同あきらめずに続編制作に取り組もうと動いて、やっとここで着地したという感じです」

やりたくてもやれない。そんな状況がずっと続いていたんですね……。

- 長島監督 「本当は7月にはコロナももう少し落ち着いていて、作りやすい状況になっていると思っていたのですが…。実際の施設や実際の人物(施設の支配人など)がこのドラマには出てきますし、今生きている世界と地続きの物語という点は大事にしてきたので、そのへんのチューニングは今も苦心しています。オリンピックの有無やワクチンの状況などで、セリフ一つ変わってくるので」

今回のドラマが少しでも良いかたちでサウナ界を盛り上げてくれたら。と思います。

- 長島監督 「今年の2月14日に放送したスペシャル版で、黙浴やマスク、ソーシャルディスタンスなど、わりとシビアに描いたので、それらに対して視聴者からの反発もあるかなと思っていたのですが、わりと皆さん好意的に受けとめていただいて。
こういう形も受け入れてくれるなら大丈夫かなと、「サ道2021」を具体的に考え始めました」

偶然さん(三宅弘城)
©「サ道 2021」製作委員会

今作のテーマとみどころ

前作の「サ道」と今作の「サ道2021」。大きな違いやみどころなどをぜひ聞かせて欲しいと思います。
まずは今作のテーマのようなものはありますでしょうか。

- 五箇プロデューサー 「今回の大きなテーマは「ディスタンスと継承」です。
先ほど話したグリーンサウナもそうですが、さまざまな施設が代替わり、リニューアル、閉店などをしていく。サウナ界だけではなく、今は日本全体として生活様式も変わり大きな転換期になっていると思うんです。コロナ前と今。一定の距離をとることを強いられながら少しずつ変わっていく。だからこそ「ディスタンスと継承」をテーマにしようかな、と思いました」

たしかに……。ぼくはサウナやブライダル、観光ビジネスなどいくつかの業界をまたいで仕事をしていますが、どの業界もすべからく転換期をむかえています。

- 五箇プロデューサー 「前回の「サ道」は、タナカカツキ先生の原作を基に、サウナってこんなバリエーションがあって楽しいんだよ、という事を見せていくことに主眼を置いた作りを目指しました。
今作は前作のベースがあった上で、先ほどお話しした様々なメッセージを散りばめています。」

- 長島監督 「サウナがメディアに取り上げられることも増えてきて、いろんなところで情報は手に入るようになった気がしています。そういうベースができたことで僕らとしても、もう一歩前に進みやすたくなったのかなと思います。
「サ道2021」では、サウナに集まる人たちの人間ドラマをこれまで以上に描いていくべきだと思いました。カツキさんの原作にもたくさんジーンとくるエピソードがありますし、チーフ脚本家の根本ノンジさんもそういったテーマを描く手練れですからね」

まさにサウナ界の変遷をサ道も辿っている感じがしますね。

- 五箇プロデューサー 「「サ道」は2019年のシーズン1、2019年冬のスペシャル版、今年2月に放送されたスペシャル版、そして今回の新シーズンとありますが、一連の作品を通したナカタの変化などに注目してご覧いただくと面白いかと思います」

偶然さんや蒸し男くん達をふくめた人間関係、そしてナカタのシリーズを通しての変化、それが今作にどう影響しているのかとても楽しみですね。
ほかにみどころなどありますでしょうか。

- 五箇プロデューサー 「そうですね……。前シリーズの施設選定は、情報のフレッシュさや話題の施設などを中心に組みました。今回も沢山の施設にご登場いただきますが、もしかすると「へぇ〜、ここ行くんだぁ?」という感想を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。なので。「なぜその施設を選んだのかな?」という事を考えながらご覧いただくのも、ドラマ「サ道2021」の一つの見方かなと思います」

おおぉ〜、それは気になる……。

- 長島監督 「あと「サ道2021」では、ナカタ、偶然さん、蒸し男くんそれぞれのバックボーンが垣間見える回もあります」

- 五箇プロデューサー 「3人とも役の年代がバラバラなので、きっとそれぞれの年代の視聴者にささってくれるのではと思います」

イケメン蒸し男(磯村勇斗)
©「サ道 2021」製作委員会

多くの方達に変わらぬサウナライフを楽しんで欲しい

最後に、ぜひ今のサウナーの方達にメッセージなどお聞かせください。

- 五箇プロデューサー 「今までと変わらないサウナライフを楽しんで欲しい、そう思っています。ただ、そのためには周りの人や施設の事を今までよりも少し気にかけたり考えたりする必要があるのかなと。
そんなことを頭の片隅に置きながら、今までと変わらないサウナのある日常をお互い送っていきたいですね」

ありがとうございます。
監督はいかがでしょうか。

- 長島監督 「サウナというものがひとつの逃げ場になっていた人もいると思うんです。それが前のようになかなか行きづらい状態になってしまったという人もいるんじゃないかなと。そういう人にとっても、なんらかの逃げ場になるような作品になったらいいなと思います」

©「サ道 2021」製作委員会

コロナ前とコロナ禍。変わるマナーとスタンダート。それに合わせ、サ道も変化を遂げている。
世の中の変化に合わせて、ナカタ、偶然さん、蒸し男くん達がどう変わっていったのか。
そして彼らのバックボーンとはどういったものなのか。
7月9日から始まるドラマ「サ道2021」 今作も目が離せない!

番組名 ドラマ25「サ道2021」
放送日時 2021年7月9日スタート 毎週金曜深夜0時52分~1時23分
放送局 テレビ東京 ほか
出演 原田泰造 三宅弘城 磯村勇斗
原作 タナカカツキ『マンガ サ道』(講談社モーニングKC刊)
監督 長島翔
脚本 根本ノンジ 竹村武司 山田能龍
公式HP サ道2021 公式ホームページ
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