サ道ドラマ化記念!出演者インタビューバトンリレーvol.5 サ道原作者、タナカカツキ
ドラマ「サ道」の公開を記念して、出演者のサウナタイム独占インタビューを次々に繋いでいく本企画。いよいよ最後になるバトンは「サ道」の原作者であるタナカカツキ氏に渡った。サウナの普及に大きく貢献した「サ道」の誕生秘話から、大使が認める驚きのサウナ施設まで。大使らしい、明るく笑いの絶えないインタビューを公開!
最初の「サ道」はマンガではなく活字版
- タナカカツキ 「インタビューバトンリレー、いいねぇ。よろしくお願いします。 服を着ているけたさんを見るのはなんか違和感あるなぁ」
- タナカカツキ 「初めて会ったのは全裸でスカイスパやったね。イオンウォーターカラーのサウナハット被ってたの覚えてるよ」
- タナカカツキ 「もともと「サ道」はマンガで描こうとは思ってなかったんですよねぇ。あのねぇ、マンガって大変なんですよ。コマ割りとか描かないといけないでしょ?コマ割り描くときって定規を使うんですが、定規でまっすぐな線引くとき息止めなあかんのですよ」
- タナカカツキ 「あれがほんまに嫌で……。マンガは基本描きたないなぁ。そっからスタートしたんですよ。当時、サウナ施設を仕事場にしたいってずっと思ってたんですよね。映像の仕事をその時はよくやっていたんですけど、映像ってものすごい機材をたくさん使うんですよ。そうなるとサウナ施設はできないしなぁ……。せや!マンガやなくて文章やったら、必要なのは紙とペンだけやから、サウナ施設でできるやろ、と思ったんですね。そこから文章で『サ道』を書き始めて、そして最初に生まれたのが、パルコ出版から発売された活字の「サ道」なんです」
- タナカカツキ 「そうなんです。最初は文章のみの「サ道」なんですよ。これならノートパソコン1台でサウナ施設で書けるから。でも、製本する際に、合間合間にもうちょっとイラストがあったらええなぁと言われたんですよね」
- タナカカツキ 「そうなんです。そこで気づいたんですよ……。あ、自分イラスト描けるわ……、って。」
サウナで仕事をしたいという想いにサウナ施設から近づいてきてくれた
- タナカカツキ 「 文章とイラストで本を書いていると、たとえば水風呂のキラキラした感じとか、サウナ施設の導線とか、文章で説明するよりもイラストの方が分かりやすい って気づくんですよね。なので、どんどん絵の量が増えていって、最終的にパルコの「サ道」の後半は、もうほとんどマンガになってるんですよ」
- タナカカツキ 「そうなんです。この「サ道」を講談社の方が見てくださって、「マンガでサ道を描いてみないか」って言われたんですよ。それがきっかけで、みなさんがよく知ってくださっている 『マンガ サ道』 ができたんです。マンガからどうやって離れていくかってことを何年も考えて、結局ピタッとマンガで着地してしまったんです」
- タナカカツキ 「ただそこから、サウナ施設がフリーwi-fiになり、ノートパソコンの処理演算がけたたましく早くなり、スマホの進化も激しく、いろいろ周辺の通信速度も良くなり。なんとノートパソコンでマンガが描ける時代になったんですよね。なのでいま、 マンガの「サ道」はサウナ施設で描いてるんですよ 」
- タナカカツキ 「そうなんです。 サウナ施設で仕事がしたい、という想いに、時代が追いついてきちゃったんですよね。しかも今コワーキングススペースとかあるでしょ?めちゃくちゃ仕事がしやすいですよね。サウナ施設側からぼくの想いに近づいてきてくれた感じです(笑) 」
近所のサウナを楽しみたい。そこで編み出した技とは
- タナカカツキ 「 サウナの入り方の楽しみを覚えると、サウナ施設そのものが楽しくなる んですよね。SNSとか見ると、ここの施設よかったとか、水風呂の温度がどれくらいだったとか、いろんな情報が集まってくるじゃないですか。そうすると、施設に行くのが本当に楽しみになるんですよ。もうそうなると、北海道行こうか、とか。海外行こうか、とか。ただサウナに行くためだけに、観光もせずにいろんな地方や海外に行くのがすごく楽しくなってきて……」
- タナカカツキ 「ただ最近、いい施設が増えてきたからか、施設がだんだん混んできたんですよね。そうなると、家から近くて空いているところがええな……、ってなってくるんですよ。すると、一気に選択肢が狭くなって。そりゃあ近くに湯らっくすやウェルビー栄のような施設があれば幸せですが、今の家の近くにある施設は正直そんなに良くないんですよ」
- タナカカツキ 「サウナ室のタオルびしょびしょ。清潔感もあまりない。でも近所のサウナだから行きたい。そんな感じです。そこでね、あみだしたんです。 脳を完全にシフトするんですよ。 」
施設の特徴に合わせて脳をシフトする
- タナカカツキ 「脳を完全にシフトというのはですね、 思考をチェンジするんですよ。 自分はフィンランドなどの北欧からやって来た観光客で「日本の町サウナを楽しみに来ました〜、お、日本のサウナってこんな感じなんですね〜」みたいな脳にします。そうすると、 ありのままを受け入れ、とても楽しくなります 」
- タナカカツキ 「ここの施設ね、ごはんもね、すんごく冷たいんですよ。ピラフ頼んだら、外側が冷たくて、中に入っていくとどんどん温かくなっていくやつ」
- タナカカツキ 「まぁそうでしょうね。でもね、 それを楽しむんです。これが楽しい、おもしろい、そう思える脳にするんです。そしたら、その施設の良さがいろいろわかってくる んです」
- タナカカツキ 「そうなんです。そして、施設のスタッフと仲良くなる。いろいろ会話をしていくうちに、ちょっとだけ要望を言ってみる。その要望を吸い上げてくれているのか、ある日ちょっと施設が変わってたりする。そういうのを見るのもすごく楽しんですよね」
- タナカカツキ 「 コツコツと関係性を築いていく んです。徐々に徐々に仲良くなっていって、いろんな話しをしてみて、いろんな要望も聞いてくれたりするようになって。それなのにね、急に支配人が変わったりするんですよ(笑)」
- タナカカツキ 「ほんでまったく新しい人がきて。また一から信頼関係やり直すんすよね。そう思いながら、コツコツ通うんですよ」
最高のサウナ施設はフィンランドにあるPyhäpiilon(ピュハピーロ)
- タナカカツキ 「いろんなサウナ施設を行きましたが、最近の人たちはサウナ施設のことを本当によく覚えてますよね。サウナタイムの口コミも、ものすごく施設のことを細かく書いているのとかありますもんね」
- タナカカツキ 「そうですねぇ、ここは本当に素晴らしい!と思ったのは、フィンランドのラップランド地方、ルカというところにある「Pyhäpiilon(ピュハピーロ)」というサウナです」
- タナカカツキ 「もう本当にすごいですよ。考え尽くされた施設です。「ピュハピーロ」ですが「聖なる丘」という意味らしいんですよね。ここ、なにが素晴らしいかというと、フィンランドのサウナって、よく湖のほとりにあったりするじゃないですか。なので、サウナ室と湖が導線的に同じ高さにあると思うんです。サウナ室の窓から湖が見えて、サウナ室でて、桟橋渡って湖入る。でもその「ピュハピーロ」は、湖がサウナ室の下にあるんですよ。湖が大きくくぼんでいて、その上に丘があり、そこに「ピュハピーロ」が建ってるんです」
- タナカカツキ 「そうなんです。湖がサウナ室の下にあるということは、サウナ室出て、全面氷に覆われた湖に向かって、シューっと丘を滑りながらジャボンっと飛び込んでいくんです」
- タナカカツキ 「さらに、湖が下にあるので、サウナ室の窓から見える景色が、湖だけではなく空、山並み、森林、全部の景色が見えるですね。運が良ければオーロラも見えます」
- タナカカツキ 「そしてここの施設に置いてある様々な小物から、サウナストーブ、サウナ室の構造、全てが最先端なんですよ。それでいてフィンランドデザイン、めちゃくちゃ洗練されています」
- タナカカツキ 「ただ、ひとつ弱点があります」
- タナカカツキ 「めちゃ遠い……」
ドラマ「サ道」を観て、国内外問わずたくさんサウナに行ってほしい
- タナカカツキ 「めっちゃいいですよ。ただ遠い……。ヘルシンキからまた飛行機で移動ですから。みなさんがフィンランドのサウナを想像するときって、ヘルシンキやタンペレなどにある公衆サウナをイメージするでしょ?ただ、公衆サウナって日本でいうと銭湯なんです。なので、フィランドに行って公衆サウナに行くことは、日本で銭湯サウナ巡りをしていることになるんですよね。もちろん公衆サウナもいいですが、日本でいう湯らっくすやスカイスパのような、まさにサウナに特化した良い施設とはまた別なんですよ」
- タナカカツキ 「公衆サウナは、ととのいに来ているというよりかは、どちらかというと地域の憩いの場という役割が大きいのかもしれません。 日本からフィンランドに行って、サウナを楽しむなら「サウナに特化した施設」にも行ってほしい ですね。 そしてできれば遠いですが、ラップランドのルカまで行ってほしいですね」
- タナカカツキ 「ルカは、自分たちの町に素晴らしいサウナがたくさんあると最近気づいたようなんですよね。なのでいま観光ツアーとしてサウナ施設巡りなどを組んだりしています」
- タナカカツキ 「まずはドラマの「サ道」を観て、たくさんサウナ施設に行っていてください。そうしたら今度はフィンランドです。そのときのおすすめはルカ。日本もフィンランドもいいサウナ施設がたくさんありますので、もっともっといろんなサウナ施設に行って、楽しいサウナライフを多くのひとに送ってほしいですね」
多くのサウナーにとってバイブルといわれており、またサウナを好きになるきっかけをたくさんのひとに与えてくれた「サ道」。その生みの親でもありサウナ大使でもあるタナカカツキ氏のインタビューは、本当に楽しく、改めてサウナに行きたくなるものだった。 いよいよ今月、ドラマ「 サ道 」が放送される。記念すべき 第一回目は、7月19日(金)深夜0:52から。 サウナ好きの方はもちろん、サウナにちょっと興味が湧いてきたけどまだ行ったことないという方まで、本当に楽しめるドラマになっている。ぜひ多くの人に観てもらい、そしてたくさんサウナに行ってほしい。きっとそこには、最高の「ととのい」が待っている。