トップサウナーインタビュー1 サウナの全てを知り尽くした サウナの王様 太田広氏

トップサウナーインタビューは、サウナ界を牽引する有名サウナーの方々に、サウナへの想い、サウナを好きになったきっかけ、思い出のサウナ施設などをインタビューする企画記事。 記念すべき第一回目のトップサウナーインタビューは、サウナ会では知らぬ人がいないほど有名な温浴コンサルタント、太田広氏に応えていただいた。

サウナを好きになったのは今から30年以上前。そこから多くのサウナが無くなっていった。サウナと日本の栄枯は連動しているんだな。

本日はどうぞよろしくお願いします。(サウナーけた)
お願いします。(サウナ王)

- まず、サウナ王がサウナを好きになったきっかけを教えていただけますか?

今から30年ほど前の話になるんだけど、学生時代に新宿の歌舞伎町でアルバイトをしていて、そこの先輩が連れてってくれたんだよ。最初はあまりサウナが好きじゃなかったんだけど、何度か通っているうちに、おじさんたちがものすごく気持ち良さそうにしていたんだよね。 当時よく行っていたサウナは水風呂がプールだったんだけど、周りのおじさんたちは、サウナ室出た後に、プールに飛び込んでいただんだよね。なんでそんなことをしているのかな、と当時はわからなかったんだよ。自分も同じことをやってみようかと思ったんだけど、その時は、サウナ室に長く入れなくてね。当然、サウナ室に長く入れないと水風呂も気持ちよくない。けど、頑張って長く入るようにしてみたら、水風呂がものすごく気持ちよくて。おじさんたちがあんなに気持ち良さそうにしていたのはこれだったんだ!で気付いてね。そこから自分でサウナに行くようになったかな。

- 今から30年前のそのサウナは、どんな感じのサウナ施設だったんですか?

よく行っていたサウナは新宿のグリーンプラザだったね。まだできて3年ほどだった。グリーンプラザは超繁盛店だったよ。土日の夜とかになると、外の階段まで人がいて、寝るところがないくらい。 昔は新宿にもいろんなサウナがあったね。当時はイレズミOKなサウナがたくさんあった。当時の新宿は半径3km圏内に超繁盛店が3件ひしめき合っていて常に満員だったな。今はその多くが閉店してしまったよ……。

- なぜそんなに繁盛店なのになくなってしまうんでしょう……

最初にお客さんが激減したのはバブルだね。自分は当時はクラブのボーイをやっていたんだけど、まずはそこのお客さんから激減したね。そういうお客さんは、クラブにも行くんだけど、同じくらいサウナにも行ってたんだよね。でもそういう人たちがバブルがはじけてクラブに行かなくなって。そうなると、当然サウナにも行かなくなり、そういう連鎖でサウナがなくなって行ったんだな……。 日本経済とサウナの栄枯は連動しているんだな。

思い出のサウナ施設は、今は無くなったけど、大阪は阿倍野にあったニュージャパン。今もあそこが最高の施設と思っている。

- 今のサウナ施設も、昔のサウナ施設もたくさん見てこられたかと思いますが、思い出に残っているサウナ施設を教えてください。

何か機会があれば、是非もう一度入りたいと思うのが、今はもう無くなったけど、大阪の阿倍野にあったニュージャパン。あそこは日本最高峰の施設だね。本当に理想のサウナ施設だったよ。

- どういうところがサウナ王から見て最高峰と思われたのでしょうか。

まず、スチームサウナの中に水風呂があり、サウナ室の中に別の温度のサウナ室がある。サウナ室を出るとすぐに14℃の水風呂があり、そして隣に休憩スペースがある。一連のサウナの流れを、ワンストップで楽しめるんだよ。 また、大きな螺旋階段があって、そこを登り切るとレストランがあるんだけど、レストランが全て窓側を向いていて、景色を眺めながら食事をすることができるんだよ。 サウナも食事も本当に楽しめた。無くなったのは今から13,4年前だったかな……。

- サウナ王からは、多くのサウナ施設の話しを聞かせていただいていますが、サウナ王から見て、「良いサウナ施設の条件」というものはありますか?

サウナ施設ってね、「自分を取り戻せる場所」なんだよ。良いサウナ室とか水風呂とか休憩スペースとかって、サウナとして入るだけならそれで良いんだけど、「自分を取り戻す」為には、サウナ、水風呂、休憩スペースだけじゃない、そのあとの食事の時間とか、ゆっくり休める仮眠スペースとか、そのあとの諸々のリラクゼーションを含めた時間があるかどうかが、良い施設かどうかなんだよ。自分を取り戻すためのね。 昔はいろんな人がサウナに来た。家族の為に出稼ぎに来た人。辛い思いをしている人。そういう人たちにとって、サウナって居場所なんだよ。だって、居酒屋とかレストランで一人で飲んでいると、なんかちょっと変かもしれないけど、サウナのレストランで一人で飲んでるって普通だろ? だから 良いサウナ施設の条件は、自分を取り戻す場所、居場所がどれだけあるか なんだな。

ブログやネットに載っていない、何をサウナで見つけるのか。それを探す旅のようなものをどんどんしてほしい。

- 今の、若いサウナーの皆さんに、サウナ王から一言アドバイスなどいただけますか?

険しい道のりを歩いていった先に、絶景があると感動するでしょ?だけど、楽にそこまで到達しちゃうと、その感動って薄れちゃうと思うんだよ。 今のサウナーたちには、もっとサウナを見つける感動を味わってほしい。 今から30年前って、携帯もカーナビもネットもなかったんだよ。当時サウナ巡りをする時って、ちょっとでも噂を聞いたらまず現地に行くんだよ、新幹線に乗って。そして駅に降りたら、電話ボックスから電話帳を開いて、片っ端から電話するんだよ。だから当時はたくさん10円玉を持っていたな(笑) そしてそこで電話で、どんなサウナ室か、水風呂は何℃か、全部聞いてたんだよね。そして良さそうだと思ったら、レンタカーを借りてまずそこに行くんだよ。だけど、当時はカーナビがないから、一人で地図を見ながらひたすら探したよ。そしてやっとの思いで到着したら、「言ってたことと全然違う」とか「思っていたよりものすごくよかった」とか。そういう感動があるんだよ。当時は本当に苦労してサウナを探したよ。 でも今は、インターネットが発達してるから、すぐに情報を探せるし、簡単にサウナを見つけることができるんだよ。だから苦労せずにゴールに到達しちゃうんだ。だから、見つけた時の感動や達成感が薄くなっちゃうんだよ。

- 確かに。昔に比べてサウナを探すことは格段に楽になりましたね……。

そう、サウナを探すのは楽になった。でもね、サウナに到達した時、今度は何を探すかが大切なんだよ。インターネットなどの情報にない、何を探すか。ブログやネットにないなにを見つけ、そこにどうやって感動を作るか。そういうものを探す旅のようなものをどんどんしてほしいね。 あと、できれば多くの人をサウナに誘ってほしいね。サウナの楽しさ、水風呂の楽しさを教えてあげてほしい。もっともっとサウナ人口を増やしたいね。サウナは必ず、人を幸せにするものだから。

サウナのサブスクリプションサイト「サウナタイムパス」