トップサウナーインタビュー5 おふろとサウナをここまで楽しく描写する 人気マンガ家 まんしゅうきつこ

週刊SPA!で好評連載中の人気マンガ「 湯遊白書 」。銭湯やサウナでの何気ない日常をコミカルに描写するその独特の世界観で、銭湯好き、サウナ好きのみならず多くのファンを魅了している。5月22日にファン待望の単行本、「湯遊白書」改め「 湯遊ワンダーランド 」第一巻が発売されたが、作者である超人気マンガ家まんしゅうきつこ氏に、マンガの見どころ、創作エピソードなどをうかがった。

「あんたあたしのことをババアって書いてるじゃねえか!」って怒られちゃうでしょ? だから出版関係のデザインの仕事をしています、って話してます。

- 「湯遊白書」はいつも楽しんで読ませていただいています。銭湯って、なんでもない日常じゃないですか。それをなんであんなに面白く描けるのか、ぜひ教えてください。

銭湯に実際に行って、これは全くマンガにならないな、と思う時の方が多いんですよ。なのでとにかく数行くしかないかと思って。あんな感じでマンガのネタになるのって、8回行って1回あるかないかなんです。基本的にサウナってシーンとしていて…。マンガに出てくるようなヌシがいるサウナは割と少ないんです。

- あのマンガに出てくるヌシはモデルの方がいるんですか?

いますいます。なので、私がマンガを描いていることがバレたら大変だな、と。「あんたあたしのことをババアって書いてるじゃねえか!」って怒られちゃうでしょ? だから出版関係のデザインの仕事をしています、って話してます。

- おお…、そうなんですね…。ではこのインタビューを読まれたらまずいですね。

まずいですね。マンガでも施設名は絶対に出さないようにしています。

サウナに通えば通うほど、サウナの深みにハマっていくじゃないですか。そうなると、サウナを描きたくなってくるんですよね…。

- 「湯遊白書」を描く上で、大変なことってあるんですか?

まず、私のマンガの担当編集者のチェックがすごく厳しいんです。 「これは銭湯やサウナの啓蒙マンガじゃないから、サウナの温度がどうとか、湿度がどうとか、そういう施設の紹介は一切いらない」と言われるんです。なのでそういったネーム(漫画を描く際、コマ割りやセリフ、キャラクターの配置などを大まかに表したもの。)を出すと、赤字だらけで返されてしまうんです。

- 結構厳しいですね。

悪魔です。真面目に銭湯のことを描くと「こんな教科書みたいなの通せるか」って。私もたまには普通に銭湯にいって、わぁ、ここのジャグジーいい♪とか、ここのサウナ湿度が高い♪とかそういうこと描いてみたいんですけど、描かせてくれないんです…。

- 編集者高石氏
「『湯遊白書』は、サウナ好きの人達だけに読んで欲しいマンガではなくて、サウナを知らない人にもサウナの良さが伝わればいいなって思っているんです。 全くサウナを知らない人に対して、水温がどうとかあまり重要な情報ではないと思うんですよね。それよりも サウナに入った気持ち良さとか、サウナに通う日々が楽しいとか、こっちをメインに伝えたい と思っているんです。サウナ好きの為だけのマニアックな教科書にしちゃうと、サウナから人を遠ざけてしまうと思うんですよね」

- 確かに…。おっしゃる通りですね。

ただやはりネックなのが、サウナに通えば通うほど、サウナの深みにハマっていくじゃないですか。そうなると、サウナを描きたくなってくるんですよね…。やはり日常の話も入れていこうと。ただ私は日常がサウナになってしまっているので、日常ネタを探すのが今はとても大変です。

- 「湯遊白書」の日常ネタは大好きですよ。カラスのピーちゃんのくだりとか。公園で端っこおじさんに会った時のくだりとか。

「草加健康センター」のサウナは大好きです。1時間に1度のオートロウリュがあって、その時にサウナストーブにパッと照明がつくんですが、その時は「来たッ」て思いますね。

- マンガの中のあの独特の描写や感覚ってどのようにして描いているんですか?マンガの中のまんしゅうさんが、初めて水風呂に入った時のあの描写、表現とか、ものすごいな、と思ったんですよ。

あの水風呂に入った時のページですね。実はあれは、「湯遊白書」を描くもっと前から、水風呂のシーンは見開きで描こうと思っていたんですよ。
要は助走なんです、あの水風呂に入るまでの話は。ずっとあの水風呂の見開きを描きたかったんです。ただ私自身、水風呂に入れるようになるまで結構時間がかかったので、すぐには描けなくて……。あのシーンのあの画だけはずっと頭の中にありました。

- あれは名シーンですね。背景のオアシスとかすごく「分かる!」って思いました。あと、フルーツ牛乳を飲んだ時のシーンとかも大好きです。

あれも実体験なんです。なんか「フルーツ牛乳」の味って子どもの頃と比べて変わってませんか? 甘味料のせいなんでしょうか? 美味しいんですけどね。普段は「飲むヨーグルト」を飲んでます。

- 銭湯はずっと子どもの頃から好きだったんですか?

銭湯はずっと行ってました。子供の頃の私の家は昔ながらの造りをしていて、お風呂が薪で焚くかまどだったんですよ。そのお風呂に祖母が大きな鯉やドジョウを食べるために放ってたんですよね。川魚は泳がせて泥ぬきをしなければならないから。なので、毎日銭湯通いをしていました。家のすぐ後ろに銭湯があったので。

- サウナを好きになったきっかけはあるんですか?

アル中ワンダーランド 」というマンガを描くちょっと前に、弟に「サウナ行けよ。目が澱んでるんだよ」って言われたんです。でも身内に言われることってなんか素直に聞けないじゃないですか。その後、事務所を移したとき、その事務所から徒歩1分の所に銭湯サウナがあったんです。そこからよく通うようになりましたね。行ける時はだいたい週4くらいで行ってます。

- まんしゅうさんが好きなサウナのタイプ、造りなどありますか?

薄暗ぁ〜くて、温度が90℃くらい、湿度がだいたい15%くらいなのが好きです。あと、「 草加健康センター 」のサウナは大好きです。1時間に1度のオートロウリュがあって、その時にサウナストーブにパッと照明がつくんですが、その時は「来たッ」て思いますね。

- 話はマンガに戻りますが、あの水風呂戦争の回はものすごく「わかる!」って思いました。

サウナに入っている方は水風呂を大切にされますからね。よくマンガに出てくるヌシの方も、サウナ室の窓から、水風呂に入る客をものすごく見てるんですよ。こっちの方が200円多く払っているので、お風呂の客に使われるのがイヤみたいです。

このマンガは、サウナや銭湯の啓蒙マンガではなく、本当に日常の話なんですね。なので、暇な時に肩の力を抜いてリラックスして読んで欲しいと思います。

- あらためて「 湯遊ワンダーランド 」の出版、おめでとうございます。こちら、なにか見どころなどありますか?

巻末におまけマンガがあるんですが、そこで編集者の高石さんを殺してるんです。トラックに撥ねさせて。あまりにも私のマンガのネームを通してくれないから、ムカついてマンガの中で殺しちゃいました。そこはぜひ見てください。

- 絶対に見ます。ちなみにぼくは、サウナや銭湯に向かう電車の中で「湯遊ワンダーランド」を読むようにしています。その後のサウナがものすごく楽しみになるので。

そのように読んでもらうのが一番嬉しいです。 読んでサウナに入りたくなった、と言ってもらえるのが嬉しい ですね。
あとは、マンガに出てくるのサウナ施設がどこのサウナ施設か、サウナの後の食事のシーンはどこのお店なのか、などを考えながら読むと面白い と思います。 このマンガは、 サウナや銭湯の啓蒙マンガではなく、本当に日常の話なんですね。なので、暇な時に肩の力を抜いてリラックスして読んで欲しい と思います。 これからも、なんでもない、どうでもいい、そんなことをいっぱい描いていきたいなと思っています。

上野サウナ&カプセルホテル北欧(撮影協力)
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